最近、ジェリー・モファットが2009年に書いたRevelationsという本を読んだがとても面白かった。
モファットの自伝なのだが、モファットが1984年に来日した時の衝撃を覚えている立場としては、「あのときはこういうことだったのか」と納得する話がいろいろあった。当時私はまだクライミングを始めたばかりで、5・12なんて夢の数字だったのに、モファットは来日して、いとも簡単にそれ(小川山のスーパーイムジン)をオンサイトしたんだから驚いた。でも、この本を読んでみると、彼がクライミングを始めてから、本当に熱中してクライミングだけの生活を何年も続けてきたことが分かるので、あのオンサイトは当然だったと思える。それと、彼がクライミングに熱中した理由として、若干の知的障害があって、学業の成績がいつもビリだったということは、はじめて知った。
 以前、イギリスに行ったとき、Stoney Middleton の小さなボルダーで、すべてのホールドに番号が付いていて、ジムの課題と同じようにホールド限定の課題がたくさん作ってあるのを見て驚いたものだが、モファットがそうやってトレーニングしていたとわかり、感慨深かった。
 あまり意識していなかったのだが、私と彼は同じ年なんだね(1963年生まれ)。
モファットはもうクライミングはしていないらしくて、サーフィンを楽しんでいるらしい。クライミングをやめた理由として「常に世界のトップを目指してクライミングをしてきたが、トップでいることが不可能になった今、続ける意味がなくなった」というようなことを言っている。まあ、確かにそうだろうな、と思う。もともとレベルの低いわれわれは、多少レベルが下がってもそれほど気にせず続けられるメリットがあるかな。
モファットの少年時代から、ジョン・バーカーやギュリッヒら、当時のトップクライマーとの交流などエピソードがたくさん盛り込まれているし、トレーニングについても書かれていてモチベーションが再び高まった。ま、トレーニングについてはキャンパスボードの効果が特に強調されている感じがするが。英語も比較的分かりやすいのでおすすめです。

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