去年の北アルプス縦走に続いて,今年は南アルプス縦走をした。天気は2日目が曇りがちだったほかはよく晴れて、今年の山行では一番いい天気だったかもしれない。
本当は甲斐駒ヶ岳から光岳まで縦走したかったが,最近体力に自信がないので北沢峠から聖岳までの3日間にとどめた。
 また、去年は全部テント泊だったが、今回は9月で寒いのではないかと思い、山小屋泊まりとした。避難小屋に泊まることも考えて、念のためツェルトやマットなどの宿泊装備も持って行ったが、結果的には全部山小屋に泊まってしまったので,宿泊装備は省いた方がよかった。
 山小屋に泊まるのは初めてだったが確かに快適だった。でも、その分、山行の充実感は減る感じがする。テント泊だった去年と比較してそうおもった。
 それにしても、3日連続でほとんど眠れなかったのはまいった。普段から寝不足には弱いのに疲れがたまるばかりだった。寝られないのだったら山小屋にする意味がなかったかも。まあ、ちゃんとした食事が食べられるのは大きいが・・・。
 それと、改めて脚力のなさを痛感。比較的持久力はあると思うのだが、脚力がないのでスピードが上がらないし、下りで足がふらついてしまう。これ以上レベルアップするには脚力強化しかないが、足が重くなるとクライミングに影響しそうでやっぱり躊躇してしまうね。

▽アプローチ 9/9
 大阪の自宅→名古屋→高速バスで伊那市→路線バスで戸台→南アルプスバスで北沢峠(長衛荘泊)
 いつもは車を使うが,縦走なので今回は公共交通機関を利用。事前に調べたベストのコースで北沢峠に入ったが、自宅から9時間もかかった。マイカーの便利さを再認識。
DSC00012
(南アルプスバスの仙流荘停留所)

▽1日目 9/10
 北沢峠→仙丈ヶ岳→三峰岳→塩見岳→三伏峠(三伏峠小屋泊)
 0:00発、16:30着
 当初は塩見小屋に泊まることを考え,予約が必要だというので電話した。しかし、北沢峠から行くと言ったら無謀だと批判されたのでキャンセルし、三伏峠まで足を伸ばすことにした。仙丈ヶ岳までは順調だったが、その先、ガスと強風になり、ペースが落ちる。コースも判然としないところが多く、なんどか道を外しかけて戻って確認するということがあり、時々GPSを見ながら慎重に歩いた。そんなこんなで、夜間歩行はいつもながらペースが上がらない。
 横川岳付近で夜が明けてほっとする。天候は快晴で、この2年ぐらいでは一番展望がよく、来てよかったと思った。熊の平小屋でカップヌードルを食べ、濡れた荷物を乾かした。小屋のおじさんはトレイルランの人に慣れているらしく、三伏峠まで行くと言ったら「高山裏避難小屋までいけるんじゃない?」とけしかけられた。まあ、体調が良ければ行こうかとも思っていたんだけど・・・。ちょっとそこまでの元気はなかった。
 塩見岳から三伏峠がけっこう長く感じた。
DSC00022
(深夜のうちに仙丈ヶ岳頂上に到着)
DSC00039
(仙塩尾根から望む仙丈ヶ岳(左)と甲斐駒ヶ岳(右奥))
DSC00077
(北荒川岳付近から仙丈ヶ岳(左奥)、間ノ岳(中央)、農鳥岳)
DSC00095
(塩見岳東峰から西峰をみる)

▽2日目 9/11
 三伏峠→小河内岳→荒川前岳→赤石岳→百間洞山の家(泊)
 4:00発、15:30着
 小屋は空いていたが、なぜかよく眠れなかった。それでも今日は行程が長くないので気が楽だ。ヘッドランプを付けて最初はのんびり歩いていると,後ろから白い明かりがどんどん迫ってくる。「これはトレイルランナーだな」と思っているとやっぱりそうで、小河内岳の前で追いつかれた時に話を聞いてみるとトランスジャパンアルプスレースに出ている大西さんだった。三伏峠から一日で畑薙ダムまで行くというからさすが。足の筋肉が違いました。
昼前からガスが出てきて展望はいまいち。期待していた赤石岳もガスの中だった。
百軒洞山の家は予想外に混んでいた。同じ部屋に泊まった50-70代の3人は数日かけて縦走中ということだったが話し好きな人たちで、楽しかった。夕食はボリューム満点のとんかつ。きょうもあまり眠れなかった。
DSC00127
(小河内岳付近から見た富士山)
DSC00132
(小河内岳付近から仙丈ヶ岳(左奥)と塩見岳(右奥))

DSC00150
(荒川小屋と荒川前岳)

▽3日目 9/12
 百間洞山の家→兎岳→聖岳→聖沢登山口→井川自主運行バスで井川駅→大井川鉄道で金谷駅→在来線と新幹線で大阪に帰宅
 2:00発、12:00登山口に下山

 同じ部屋のおばちゃんに、聖沢登山口から井川駅方面に向かう,自主運行バスの時刻が13:10であることを教えてもらい、そのバスに乗れるように早く出発する。天気は快晴。ほぼ満月で、ヘッドランプなしでも歩けそうなぐらいだった。富士山を始め、赤石岳、聖岳など周囲の山が暗闇に浮かび上がって幻想的な光景だ。遠くには名古屋方面の明かりも見えた。この光景を眺められただけで今回の山行は十分満足だ。
 連日の睡眠不足で足は重いがとにかく休まず歩き続ける。兎岳直前で、明瞭な踏み跡に従ってどんどん下っていくと,水が流れてきた上、道が不明瞭になってきた。それでも歩いた形跡があるので下っていったが、そのうち草をつかんでのクライミングになってきたのでさすがにこれは違うと思いGPSで確認する。そうすると稜線上の道を明らかに外れており、登山地図を見ると水場に下る道だと分かった。みずからに悪態をつきながら登り返す。登り返してからヘッドランプで周囲をよく見ると、石の上に水場という文字がうっすらと書いてあるようだった。
 そこから兎岳までは近かったが、兎岳頂上からまた道を間違えた。登山地図では兎岳の三角点は稜線上の道から往復15分とあるので、なんとなく頂上に着いたら稜線上の道まで引き返すものと思い、引き返してしまったのだ。ところがかなり下っても稜線上の道の分岐点が出てこないのでまたGPSをみると、すでに稜線上の道の上にいることが分かった。結局、さっき登ったのは三角点のある頂上ではなく,稜線上のピークだったということだ。立派な標識があるのでてっきり三角点ピークかと思い込んだのが間違いの元だった。10分ほどかけて下った道をまた登り返す。なんだかんだで1時間ぐらいロスしただろうか。2回目の兎岳頂上に立った時にはすっかり明るくなり、どっしりした赤石岳が美しかった。
 ここから聖岳まではいくつか偽ピークにだまされたが順調に到着。天気は快晴で展望は最高。ほかにだれもおらず静かな頂上だった。
 ここから先は下るだけ。気温が上がってきて汗ばむ中を聖岳登山口に向けて下る。思ったより登り返しがあったのと、台風12号で道が崩壊しているところが5,6カ所はあった。特に沢を渡るところはけっこう危ないと思った。事前に東海フォレストに電話したときには問題ないと言っていたのだが・・・。
 ちょうど正午に登山口に到着。井川観光協会のバスで井川駅まで行き、そこから鉄道マニアがよろこびそうな大井川鉄道で帰った。井川観光協会のバスは途中、白樺山荘という宿泊施設で1時間停車したので温泉に入ることもできて快適だった。
 下山してみるとなんかあっけない3日間だったような気がする。もう一日追加して距離を伸ばした方がよかったかも、とも思った。しかし太ももは分疲れていて膝もすこし痛んでいたのでやはりこの程度が適当だったのだろう。

DSC00166
(夜明け前に兎岳到着)
DSC00184
(聖岳頂上から、歩いてきた道を振り返る)
DSC00188
(聖岳頂上)
DSC00185

DSC00210
(聖沢登山口)
DSC00227
(井川駅)