10/22
 先日痛めた背中(脊柱起立筋)のあたりは、なかなか痛みが引かず、10日ぐらいかかりそうな雰囲気だ。体もだるいので、今日はアミノ酸を飲んで寝ていた。
 まあ、あせって一層痛めてもまずいので、気長にやるしかない。あと数日したら、指が弱らないように背中に負担がかからないトレーニングは始めることにしよう。
 この数日、渡辺京二の「日本近代の逆説」という本を読んでいるが、これまで疑問だったことに、かなり納得のいく説明がされているような気がしている。
 たとえば、天皇制がこれだけ高い支持を得てきた背景は何か。ずっと昔からそうだったわけではなく、江戸時代には幕府の力が強まり天皇の勢力は衰退していた。それが明治維新後、新政府の方針で天皇が再び担ぎ出された訳だが、なぜそれが思った以上にうまくいったのだろうか。渡辺氏の説明はおおざっぱにいうと、近代化で、農漁村の共同体が解体されていく過程で、心のよりどころを失った農漁村民に対し、天皇を中心とした大きな共同体という構図を提供することでうまく取り込んでいったということだ。
 渡辺氏が石牟礼道子の名作「苦界浄土」の解説をしているのも改めて読んだが、この解説自体が十分に読み応えのある評論作品であると思った。ここでも、水俣病の被害者たちの所属していた共同体とその解体について焦点が当てられていて、明治以後、日本人が次々に捨て去っていった文化の価値を改めて見直したくなる。逆に、日本人が近代化を目指して、どんどん西洋風になっていったといっても、コアのところの考え方には、江戸以前の日本風の思考が残っているのではないかと思い当たるところもあったりする。
 いろいろ考えさせられた。